NPOのメール運用を考える

NPOのメール運用 NPOの知識

スタートアップNPO 呼びかけ人の影山です。
コラムでは、私が10年以上、結婚相談NPOを運営して来た知識を元に、NPOに役に立つお話しをできればと思います。

今回はメールの運用について考える回です。

メールはオワコン

大前提として、私はメールは時代遅れ、いわゆるオワコンだと考えています。
大きな理由の一つは迷惑メール問題です。

迷惑メール問題は関係各社が色々と改善してきましたが、その度に普通にメールを運用してきていた事業者も割を食って来ました。例えば、NPOにとって重要な事が多い、メールマガジンを迷惑メール扱いしてしまうのも、我々には把握できない送信サーバーに対する評価などが関わっています。

また、プログラムによる自動メール送信もNPOとしては困りもので、NPO側もreCAPTCHAなどのセキュリティ対策が欠かせません。現在のreCAPTCHAは、ユーザーの行動を見て判断するようですが、画像認識の時代は、よく利用者から「メールが送信できない!私をロボット扱いするのか!」と電話でクレームが入ったものです。

これは、言葉を選ばなければ「IT弱者」にカテゴライズされる方々をサポートするNPOほど、遭遇しがちなクレームだと思います。

AIが急速に進化する中、現在のreCAPTCHAも早晩、対策が練られてしまうのではないでしょうか。

もう何十年も、迷惑メール業者とのイタチゴッコが続いており、平均して週1,000通程度の迷惑メールと格闘してきた私は半分あきらめています。

では、どうしているのか?本スタートアップNPOがそうしていますように、LINE公式の活用をお勧めします。

LINE公式とは?NPOでも使える?

LINE公式は無理やりまとめると「企業が個人とやり取りする為のツール」です。個人的にはかなりFacebookを意識して作られたサービスだと思っていますが、こと日本においてはFacebookを凌駕しています。ただし、メリットもデメリットもあり、それがメールはオワコンと考えている私でさえもメールを捨てきれない理由でもあります。

LINE公式のメリット

LINE公式には迷惑メール以外にも多くのメリットがあります。

  • LINEアカウントを持っている人とやり取りがしやすい
  • 理論上、なりすましアカウントが無い
  • 迷惑メールに該当するものがほぼ無い
  • 複数人で運用が可能
  • メールよりも過去のやり取りが確認しやすい
  • 自動応答が可能
  • 営業時間設定が出来る
  • PCでも運用しやすい
  • 音声通話・ビデオ通話に切り替える事ができる
  • PayPayとの連携がしやすい
  • メッセージの一斉送信ができる
  • 認証アカウントになれば見つけてもらう事もできる

過去のやり取りが確認しやすいと書きましたが、一方でLINE公式は履歴が一定期間経過すると徐々に消えてしまうというデメリットもあるので注意してください。

影山
影山

また、手数料にさえ目をつぶれば、決済の導入がしやすいのは、大きなメリットです。ただ、導入できる事業種別は限られていて、結婚相談NPOは「出会い」という事で審査に通りませんでした。

LINE公式のデメリット

残念ながらメリットだけではないので、デメリットも見て行きましょう

  • やり取りが短文になりがち
  • 問い合わせ者の本名を把握しにくい
  • リアルタイムに近い応対を期待される
  • 過去のやり取りが一定期間で消えてしまう
  • 一定数、LINEが嫌いな人が居る
  • ブロックされやすい
  • BtoCは得意だが、BtoBは苦手

LINEは基本的に個人向けサービスなので、スタートアップNPOのように、事業者が対象(BtoB)の場合はLINE公式だけでは完結できません。NPOへの取材なども基本的に電話かメールで来るので、メールを完全に捨てる事はまだまだ難しいでしょう。

なお、LINEユーザーの企業アカウントブロックはかなりシステマチックで、運用者によっては非情に感じる事もあると思います。

影山
影山

個人的にはLINE公式メイン、メールサブが理想だと思います。

メールの種別

さて、メールを完全に捨てる事がまだまだ難しい事をお伝えしました。では、NPOはどのようにメールを運用すれば良いか?まずは、メールの種別を大雑把にまとめましょう。携帯キャリアメールなどは想定していませんので、以下の3つ辺りが現実的だと思います。

  1. Gmail
  2. 独自ドメインメール
  3. Gmailで運用する独自ドメインメール

もともと営利企業を経営していた私には「基本的に企業はブランドを高める為にも独自ドメインメールを利用すべき!」という考えがありました。そして、結婚相談NPOでは「3」の「Gmailで運用する独自ドメインメール」を採用していますが、この方式が100%お勧めか?というと、実はそうでも無くて「超長期目線のNPOでない限りは「1」の「Gmail」でも良いのではないか?」と思っていたりします。(ただし、Gmail以外のメール配信システムでGmailアドレスを運用すると逆効果という話し有り)

理由は色々とありますが、理由の1つとして、次にあげる設定が「万人に可能なのか?」という点があります。ITに精通している方からするとたいした話しでは無いのですが、実際、NPOの現場は高齢者だけのケースも多く「難しいのでは?」というのが私の認識です。

高齢者のNPOはIT部門をプロボノに期待する事もありかもしれませんが、どうしてもITは頼りきりになってしまうので、ついつい頼りがちになってしまうのではないでしょうか?結局、ボランティアの一種であるプロボノにそこまで期待するのもどうか?と個人的には思います。

最低限メールに求められる設定

さて、最低限メールに求められる設定ですが、少し前にGoogle社が以下のような発表をしました。

Gmail 個人用アカウントにメールを送信する場合に、こちらに記載の要件を満たす必要があります。個人用 Gmail アカウントとは、末尾が @gmail.com または @googlemail.com のアカウントを指します。

  • 送信元ドメインに SPF または DKIM メール認証を設定します。
  • 送信元のドメインまたは IP に、有効なフォワードおよびリバース DNS レコード(PTR レコードとも呼ばれます)があることを確認します。
  • メールの送信に TLS 接続を使用します。
  • Postmaster Tools で報告される迷惑メール率を 0.3% 未満に維持します。
  • Internet Message Format 標準(RFC 5322)に準拠する形式でメールを作成します。
引用:メール送信者のガイドライン

いかがでしょうか?最大シェアを誇るGmailに届かないという事は、メールが使い物にならないという事です。皆さんはこれらを把握して、対応する自信がありますか?

なお、本投稿の直近で求められたのは「SPF または DKIM メール認証の設定」です。他の項目は意識しなくても対応している事が多いのですが、独自度面を利用する場合、この点においては追加設定が必須と考えるべきでしょう。設定方法は利用サービスによりますが、基本的にドメインに対するDNS設定というものが必要になります。

ここで意識したいのは、今後もこういった新しい対策が定期的に必要になるだろうという点です。その度に方法を調べて、設定をするとなると、それなりの労力が必要です。

今回のGoogleの指針はYahoo!なども同調しているので、メール界のスタンダードだと言えます。対して、私はNPOは本業に集中すべきで、それ以外はやらなくても良い体制、もしくは外部に委託する体制が重要になると思っています。そう考えると、勝手に対応してくれるであろう普通のGmailで運用するのはありな気がしますし、メール主体の運用も避けるべきと考えるのも自然ですよね。

おまけ)結婚相談NPOのメール運用

私が代表を務める結婚相談NPOが「Gmailで運用する独自ドメインメール」を利用している事はお伝えしました。ただ、それでは運用面の不便さがそれなりにあります。リモートワークが拡がった今、その不便さは更に顕著になりました。

そこで、我々が書記から導入しているのが、サイボウズ者の「メールワイズ」です。少しややこしい説明になりますが、正確には「Gmailで運用する独自ドメインメールをメールワイズで運用」しています。

メールワイズを利用すると、各スタッフが同一メールアカウント(メールアドレス)を確認する事ができるので、二重送信などが無くなります。これは実際に運用して見ないと分かりにくいのですが、かなりのメリットです。その他、一斉送信機能やテンプレート機能なども備えていて、サイボウズさんはNPO向けに特別価格をご提供してくださっているので、一考の価値はあると思います。

影山
影山

あえて、メールワイズのネガティブな部分を申しますと、スマホアプリの更新が停まってしまった点くらいでしょうか‥「想定より利用者が少なかった」というのが更新停止の公式理由でしたが、復活すべきではないかなぁ‥と私は思います。

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影山 頼央

スタートアップNPO 発起人。株式会社 オーバーランド 代表、特定非営利活動法人 結婚相談NPO 理事長。営利・非営利両セクターの運営を経験。

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